1. プライバシー保護の概念

誰もが健康で安心して生活していくことができるような社会の実現を図ること、とりわけ障害者・高齢者が「自立と尊厳」を持てることはとても重要な課題である。訪問看護サービスにおいては利用者の人間としての尊厳が重視され、気持ちよく生活できることはサービスの質において極めて重要な要素である。(個人情報の保護に関しては別マニュアルとし、ここでは「人権・人格保護」の観点でプライハバシーを取り扱う)

2. プライバシー保護の取り組み

利用者情報の収集においては収集する情報は訪問看護サービスの計画・実施・確認に必要な事柄に限定することは「個人情報保護マニュアル」に記載されている通りである

  1. 基本的な事項
    利用者、家族が答えたくない事柄についての追求は注意を要する。どうしても聞かなければ訪問看護サービスの計画、実施に支障が生ずるというような場合は、その情報がどのように重要なのかを十分理解していただけるよう、対応しなくてはならない。ケアプラン作成の場面で、あるいはサービス開始のアセスメントでは
    ・事業者としての情報を積極的に開示しているか(事業者概要、事業内容等)
    ・情報収集の目的、個人情報の利用目的を告げているか
    ・介護保険事業所は「介護サービス情報の公表」について説明しているか
    ・真に自立支援に貢献できるプランを検討しているか(利用者の立場にたっているか)
    ・行き過ぎのヒアリングはないか(個人の尊厳まで立ち入っていないか)
    ・利用者の権利(解約の自由、サービス決定の自由、記録開示要求等)を告げているか
    ・複数の選択肢を提供できているか(実質的に選択肢のない提案は押し付け/押し売りである)
    ・最終的には自己決定ができているか 家族の合意(特にキーパーソンの合意)が得られているか(家族にもそれぞれ同じように人権がある)などの注意が必要である。
  2. ベッドの配置等
    利用者のプライバシーに配慮した形で計画する。また、担当者会議なとどでも利用者のプライバシー保護に問題がないか定期的に確認する。
  3. 日常の対応
    ・事業所内での個人情報、プライバシー情報の管理をルール化、励行(保管ルール、コンピュータパスワード設定、持ち出しルール)
    ・日常生活における情報漏えいの厳禁(意図しないものも注意)
    ・家族(特に普段接していない家族)からの問い合わせに安易に答えない
    ・利用者やご家族との会話の中で、引き継いで良いもの、悪いものを意識する
    ・記録にあたり、支援者側の一方的な思い込みや「 自分だけかが理解できる暗号めいた文章」は書かない
    ・常に利用者への配慮が行き届いた環境づくりのため、事業所の人事責任者は職員のストレスケアにも配慮する(職員ストレスケア、悩み事のヒアリング実施)
  4. 利用者にとって、特にデリケートなケアとなる入浴、排泄については本マニュアルで対応する。
  5. 利用者とサービス担当者間、サービス担当者間の日頃の会話においても利用者、家族のプライバシーに触れるような内容は避ける。(事実であるかないかは問題ではなく、 本人、関係者が不快に思う可能性のある話題、第三者からの嫌がらせ、迷惑行為、犯罪が誘発される可能性のある話題などは絶対にしてはならない)
  6. サービスに関連する記録類の扱いは「個人情報保護マニュアル」による。
  7. このような事項については定期的な教育計画に含めて教育を実施する。
3. 入浴介助におけるプライバシー
  • 着替え場所等は外からは見られないよう、ドア・カーテンなどで配慮する。利用者によってはご家族からも見られたくないと考える方もいるので、個人の意向 を確認して可能な限り対応を図る。
  • 入浴中の姿も見られることを好まない方がいる場合、ドアを半開きにする、閉める等の配慮をする。
4. 排泄介護におけるプライバシー
  • ほぼ入浴と同様に配慮する。
  • 排泄音を聞かれたくない方もいるので、可能ならBGMなどを考慮する。